【感想レビュー】
かづき『距離感が雑なギャル』は、ギャル×職場飲み会×暴走スキンシップという王道の火薬庫を、テンポとコメディの間合いで一気に爆発させる一冊。開幕から高浦の“近すぎる距離”が職場相関図をぐちゃっと攪拌し、店長・茂木の常識がみるみる崩れていく過程が楽しい。
台詞の切り返しが軽妙で、「はいっ!」と元気よく返事した次のコマでもうエロに雪崩れる、この早変わり感が実にかづき節。ギャルの無自覚誘惑→周囲の理性崩壊→さらに距離が詰まる、というループの回し方が上手い。
高浦の描線はやわらかく、肩紐や胸元のたわみ、ショーパンの食い込みで“触れそう”な質感を作るのが見事。表情も、悪気ゼロの屈託スマイルから、ふっと据わる眼差しへの切り替えで読者を落とす。モノローグは茂木視点で進むから、読者は「止めねば」と「流されたい」の板挟みを一緒に味わえる。エロは口→手→本番…と段階を踏みつつ、ギャル側が常に主導でペースを握るので、気持ちよさの説得力が強い。
居酒屋バックヤードという生活感のあるロケーションも効いていて、衣服のずらし・小物の退避など実用細部が丁寧。最後に高浦の価値観(“みんな=一緒”の距離バグ)が垣間見えるのも後味が良い。軽快で抜けて、ギャルの魅力がしっかり残る、実用兼ドラマの佳作。
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